音MAD作者の「過去編」を見てみよう その3



この記事は『音MAD Advent Calendar 2022』の参加記事です。

3つの記事に渡って掲載してきたインタビュー企画もラスト!

今回は8人の方のインタビューを開催します!

前2本の記事を見ていない方は先にそちらの記事をご覧頂くことをオススメします!

 

その1その2その3(今ここ)

 

さはら

https://www.nicovideo.jp/user/25683331

やっていた活動

音MAD以外の動画投稿

その活動の説明

人類には早すぎるランキングにランクインすることを狙ってひたすらネタ動画を投稿していました。(現在も有志の方が続けてますが所謂初代にあたるシリーズです)
恥ずかしいから今は殆ど非公開にしています。

その活動が音MADに活きた部分があるか

そのランキングで音MADの存在を知って徐々にそっちにシフトしていったので、きっかけという意味では大いに活きたと思います。

 

主催コメント

高い映像表現力を誇りレスリングMAD中心に活躍するさはらさん!

非公開になってない過去の動画では湯のみシリーズ俺の手など、人早民の片鱗を垣間見ることが出来ます。地層。

人早ランキングには音MADも多くランクインしていたので、音MAD界隈への動線としてはとても自然に思えます。

近年のさはらさんの動画だと『テレキャスターゲイボーイ』(sm38270468)で4って鳴く犬を採用していたことが記憶に新しいのですが、言われてみるとあの素材って人早民がめちゃくちゃ好きそうだなぁって思いました。

るぺあ

https://www.nicovideo.jp/user/79008692

やっていた活動

なし

その活動の説明

音MADが人生で初めて

その活動が音MADに活きた部分があるか

何もなかったので伸びしろしかなかった
型にはまらずあまりない新しい視点を持っていた

 

主催コメント

合作で色々やってるるぺあさんです。昨日の記事の担当者でもあります。

これは"漢"ですね… こういう考え方もあるのかもといった感じです。

アイマス系統の動画ってファンアートに近い側面を持っているものが多数派だと思うのですが、るぺあさんのアイマスMADは比較的人を選ぶようなネタも積極的に取り入れていくような印象があって、そういうところは音MAD生まれの人の得意分野なのかもなぁとちょっと思いました。

こんな人

https://www.nicovideo.jp/user/15195639

やっていた活動

①ニコゲー/②うごメモ

その活動の説明

①プログラム言語を使わずにゲームが作れるサイト、「ニコゲー」を用いたゲーム作成

その活動が音MADに活きた部分があるか

①音声や画像を用いるので、動画素材のダウンロード、音声の切り抜き、画像の透過の仕方が身につきました。
②音MADの映像部分をうごメモで作って投稿をしてましたが、音声はPCで作っていたので音声を作るスキルはそのまま今に活きています。

 

主催コメント

10年ぐらい前からずっとチャー研MAD周辺で活躍し続けているこんな人さんです。全音MAD作者で1、2を争うぐらい好きなハンドルネームだったりします。

ニコゲーという文化を知らなかったのですが、紹介動画を見る感じだとRPGツクールに近い感覚でゲームが作れるサービスらしく、デジタル創作に必要なレイヤーの概念もここで身につけることが出来そうだと感じました。

こんな人さんの音MADは手描きの要素が強めだと思っているのですが、その辺りはうごメモで鍛えられてたりするのかもしれないですね。

ruiji

https://www.nicovideo.jp/user/15195639

やっていた活動

(1)自由帳に(既成)ボードゲーム描いてた (2)ゲームのステージ自作してた (3)フォント描いてた

その活動の説明

当時作ったノートの実物が手元になかったので、再現して描いてます。

 

◆1_ボードゲーム
ヘキサイト
https://hexcite.com/jpn/contents/hexcite.html
小学4年生頃
「ヘキサイト」という対戦型のパズルゲームを方眼罫の自由帳に描いて学校で友達と休み時間に遊んでいました。
初めて遊んだのはゲームボーイ版で、かなりの時間遊んだうえでパズル好きの友達に紹介したくなって自由帳に描いた、という感じです。

 

◆2_ステージ作り
WWA https://www.wwajp.com/
小学5年生頃
パソコンで個人サイトをいろいろ見ている中でWWAにハマり、ステージ作成ツールもあることを知ったので自分で作ろうとしていました。
5作くらいの案をノートに描いていたのですが、どれも中途半端なところで止まり、一つも完成しませんでした。
スプライトは自分で描いていたと思います。
もしかしたらCDにデータを焼いたものが実家にあるかも…。

 

スーパー正男 http://www.t3.rim.or.jp/~naoto/naoto.html
小学5年生頃
こちらもWWA同様に大ハマリしていました。
ステージの作成はテキストファイルに直で打ち込んでいました。(後々作成ツールが作られていてそちらに移行していたかも)
ノートには長めのステージを3つくらい描いて、それとは別に短めのステージをいくつか作っていたと思います。

 

◆3_フォント作り
小学6年生頃
フォント作りといっても、ノートに描くだけでした。
理科のノートに1mm罫のグラフ用のページがあったので、そこに描いていました。
ただ、フォントファイルの作り方が分からなかったので、使える形にはなりませんでした。

当時作ったものが残っていたら見せてください

◆1_ボードゲーム

◆2_ステージ作り

◆3_フォント作り

その活動が音MADに活きた部分があるか

(1)強いて言うならゲーム再現の作風でしょうか…? (2)なさそうですが、当時からものづくりが好きだったことはわかりそうです (3)音MADじゃないですが、ロゴ作成とか最近できてます!

 

主催コメント

nerdtronics2のロゴを担当したruijiさんです。たくさん送ってくれました。

色々出来る方ですが、当時から色々多芸だったようです。

個人的にはボードゲームを自由帳に描いて友達に紹介した」というエピソードが結構肝に見えました。自分の好きなものを手間を掛けて人に紹介するっていう思想は音MADの根底にもあるものだと思います。

創作を行う際にノートや自由帳を有効活用しているのが面白いですね。今でも下書き的にアナログ媒体を使っていたりするのか等気になりました。

関係ないですが、ステージ作成の項で紹介されているサイトがかなりノスタルジーなデザインで懐かしい気持ちになります。

1時

https://www.nicovideo.jp/user/7375756

やっていた活動

オリカビ

その活動の説明

「オリカビ(オリジナルカービィ)でお題」という企画。いろんな人から募集したオリカビをひたすら描いていくという主旨のもので、自分はそのコンプリートを目指していました。

当時作ったものが残っていたら見せてください

その活動が音MADに活きた部分があるか

お題用のお絵描きチャット内で知り合った人の絵柄を意識して、それぞれ異なった描き方をするようにしていました。そのあたりが自分の音MADの映像作業の姿勢に少し関わっているように思います。

 

主催コメント

何かと周囲に影響を与えがちの1時さんです。愛されキャラ。

"オリカビ"というのはカービィを元にした二次創作品群のことを指すようで、ネット上に結構な数が上がっているようです。音MADに負けず劣らずガラパゴスそうですね。

1時さんはTwitterで特定の誰かを題材にしたショート音MADをいくつか上げていますが、その辺りの姿勢も当時からあったように読み取れました。人との交流を創作に落とし込む感じといいますか。創作による交流の方が近い?

mega(目が)

https://www.nicovideo.jp/user/63941082

やっていた活動

うごメモ、イロスマ同人誌製作(動画投稿)、MUGENキャラ製作

その活動の説明

うごメモ
正直創作活動と呼べるか微妙な作品ばかり作ってました。
小学生~中学生にかけて、大体5年ぐらい?

・イロスマ同人誌製作(動画投稿)
メガスマ」という動画を弟と作って投稿してました。
当時の投稿動画群↓
https://youtube.com/playlist?list=PLoQCQWN95cORoU47sE7YjCuRZFI_g_v_6

・MUGENキャラ製作
今もやってますが、触り始めたのは音MAD作り始めるより前でした。
当時作ったキャラの動画↓
https://www.nicovideo.jp/watch/sm34236017

その活動が音MADに活きた部分があるか

MDMの動画を作るときにうごメモで作った動画を一部取り入れた時がありました。
 [例] 音MDM映像(sm33696568 1:21~)

メガスマ」に関してはまず撮影をするところから始めていたので、そういう点は自作MADでたまにする「自分で撮影した映像を用いる」所に繋がってると言えなくもないかもしれません。ちょっとこじつけっぽいですが。
 [例] 音MDM映像(sm33696568 0:23~,1:24~,2:18音量注意)
   零タイスパーイ(sm33622004)
   Kirumi's Attic(sm37362944) とか

あとまた音MDMなんですけど、Windowsムービーメーカー使ってるパートあるんですけど、メガスマ作ってた時はムービーメーカー使って動画作ってたので思いついてやってみたパートでした。
 [例] 音MDM映像(sm33696568 1:42~)

MUGENキャラ製作は今も続けてる事(なんなら最近になってようやくちゃんとしたものが作れるようになってきた)なので現在進行形な気もしますが、自作MADの映像の一部をMUGENを使って演出するみたいな事はちょっとだけやってたりしててまぁ「活きた」のかなぁ…って思います。
 [例] 音MDM映像(sm33696568 1:18~)
   きゅてすらりん(sm40778570) 辺り

 

主催コメント

止まらない暴走機関車、megaさんです!またもたくさん頂きました!

メガスマの動画を見せて貰ったんですが、もうこの時点でmegaさんの音MADの世界観に相当近いものになってて凄い!!!!!!!!影響受けてるというか表現の場所が変わっただけなんだなって感じで素晴らしい!

今回お話を聞いて考えたんですが、MUGENってそもそも結構ハチャメチャな世界観(?)が界隈として共有されているイメージがあって、うごメモのカオスバトルとかと少し似ているのかもなぁと思いました。

根っこの部分はずっと変わっていなくて、表現する場所や技法を変え続けているのがmegaさんなのだと思いました。同じようなことを二回言いました。

しぐ~

https://www.nicovideo.jp/user/4731301

やっていた活動

TRPG

その活動の説明

MADより後に始めた事かつ現在進行形でやっているのですが関連性があるので。
クトゥルフ神話TRPGを主とした様々なTRPGをプレイしています。

その活動が音MADに活きた部分があるか

ちゃんとしたお話をゲームを通して見てきた・そのお話に介入した経験が、妙なストーリーライン(sm37775016 2:18~、sm35915000 4:12 等)を考える際に役に立っています。
一切整合性のない"妙なもの"も好きですが、個人的にはある程度の整合性があってかつどこかに大きく歪みのあるものがおもしろいと思っています。
整合性をもっていてかつ、(ゲーム的緩急・介入する必要のあるものの明確化のため)大きく歪んでいることの多いTRPGのシナリオは深層の考え方で大いに役立っています。多分。
やはり感性的なものが大きいと思いますので僕はこういう方向に役立てていますが、別にTRPGやっても変なMADは作れないぞ!

 

主催コメント

いたまず、カラオケを始めとして定期的に話題を生む人、しぐ~さんです。iwaraは抜ける!

TRPGはシナリオの作成者が意図した大筋のストーリーはありつつも、その過程はプレイヤー及びGM次第で違う転がり方をするものであると個人的に認識しているのですが、お話を聞いていると実は音MADと少し似ているかもしれないと思いました。

例に挙げられている『ShuzoMAD-birthFes.hot』(sm35915000)の場合だと「病気」という要素と「安否確認」の要素が回収すべきである大筋部分として、それ以外の部分は作者の裁量である程度自由に転がすことが出来る部分という考え方も出来るのかなと。

めがっちP

https://www.nicovideo.jp/user/32781937

やっていた活動

うごくメモ帳 及び うごくメモ帳3D

その活動の説明

模写、トレスによる手描き素材制作や制作した素材による音MADの動画制作。

その活動が音MADに活きた部分があるか

小学生当時、友達の家のPCでyoutubeを開いていてそこで初めて音MADをみました。
そこから自分用のスマホを持つまでは音MADを見る機会というのがなかったので、それまでの記憶の繋ぎになったと思います。

また、うごメモが活きてか自分で描いたイラストを映像に組み込むことに抵抗がないのでこれもかなりスキルになったと思います。

 

主催コメント

ラストはこの方、めがっちPさんです!うごメモ勢!

「記憶の繋ぎ」という考え方がとても面白いです。単純に制作経験自体が後に影響を及ぼすのは想像に難くないのですが、そもそも子供だと視聴環境が限られるという発想は自分にはなかったです。

コロナ禍の影響もあり当時より圧倒的にYoutubeが普及した今では同じ状況が起こりうるのかは少し分かりませんね。小さい頃にピンポイントでうごメモに触れていた狭間の世代と言えるのかも。

おわりに

以上、総勢22名の方々からお話を伺うことが出来ました。

ご回答くださった皆様、ありがとうございました。

 

元々音声や映像的な活動をしていてそれが直接音MAD制作に活きていそうな方も居れば、思想や取り組み方の点で影響を受けていそうな方も居て面白かったです。

今回聞いたお話を意識しながらその人の動画を見ることでこれまでとは違う見方をすることも出来るようになるのかもしれません。

また、今回はいわば「過去の姿」だった訳ですが、逆に音MADから何らかの影響を受けて別の活動をしている「未来の姿」についてのインタビューなんかも面白そうだなと思いました。